【パネラー参加レポート】TWF主催によるバーチャルパネルディスカッション(2輪、3輪&EVフォーラム)2021

2021年12月9日、10日にTWF(2輪、3輪&EVフォーラム)主催のバーチャルパネルディスカッションイベントにて、2輪、3輪、電気自動車(以下、EV)の分野で活躍する著名人を集めたパネルディスカッションが開催されました。

弊社、テラモーターズ株式会社、代表取締役社長の上田晃裕もパネラーの一人として参加しております。

パネルディスカッションでは、インドの2輪産業、予測分析、EVエコシステムの研究発表、電気自動車、バッテリー接続、充電、コスト、廃棄について議論されました。

インド EV パネルディスカッション

パネルディスカッションの参加者

1. Hemal Thakkar氏 – ディレクター、CRISIL Ltd. (司会進行役) 
2. 上田 晃弘 – テラモーターズ株式会社 代表取締役社長
3.Chandra Nataraja- ベクター・インフォマティック社 マネージング・ディレクター
4. Naveen Munjal 氏-ヒーロー・エレクトリック社 常務取締役
5. Akash Gupta氏 Zypp Electric共同創業者兼取締役社長
6. Randheer Singh氏 – 主任技術者、共同アドバイザー(インド政府系シンクタンクNiti Aaog.)
7. Kabir Bhandari氏-Padmini VNA Mechatronics社 常務取締役
モデレーターは、Crisil Ltd.のディレクター Hemal Thakkar氏。

インド EV パネルディスカッション

ここからは、パネルディスカッションの内容の一部をご紹介していきます。

ここ数カ月、EV産業は活況を呈しています。石油燃料価格が100ルピー(約150円)を超え、より速いペースで移行していることがわかります。

こういった課題に対して、EVはインドの社会的、経済変動に貢献しています。EVの性能については、ある時期から曖昧な部分が多くなっていましたが、今はそれがなくなりつつあります。また、バッテリー技術の向上や充電インフラの整備により、普及が加速しています。しかし、電池のインフラが整っていないところでは、走行距離に対する不安があり、まだ成長が期待できない地域もあることが課題です。

インドEV産業におけるトレンド・課題

まずモビリティに着手することにより、その後、2輪車と3輪車への取り組みに焦点を移すことが出来ます。この転換にはさまざまな理由があります。1つはインドは大きな2輪車市場であり、全車両の80%が2輪車であること。2つ目は、価格の観点から見ると、新しい政策が導入されたことで購入価格が下がっています。

最後に、総所有コストにおいて、ICエンジン(ガソリンエンジン)車とEV車では、EVに有利なように大きく開いていること。これらの要因が、市場を飛躍的に成長させることにつながっています。

一方で、注意しなければならない要素もいくつかあります。インフラを見る場合、2輪車、3輪車、自動車、公共交通機関、商用車などのカテゴリー分けをする必要があります。

どれもニーズや必要なインフラが異なり、時期的にも踏み切る段階が異なります。ガソリンエンジンからEVへの転換は、すべて異なる期限を設定する必要があり、その為、ピラミッドの底辺は二輪車になると思われます。

小型EV車には、高出力の充電インフラは必要ありませんが、高密度で基本的な充電インフラが必要で、それがコストダウンにつながる事になります。ユーザーの利便性を高めるため、バッテリーは完全に持ち運び可能なものを開発しました。近くに充電インフラがない場合は、この電池が便利になるでしょう。ただし、航続距離やITが今後の課題として残ります。

モビリティが産業に参入する前に、インフラが整備されていなければなりません。協力者を探し、1万台以上の充電施設を開発しようとしています。

また、資金調達の問題で、2021年6月までは、市場の7割が価格の安い低速EV車が流通していました。これらの車両は政府未登録車であることが多く、リセールや車両価値の終了を判断することが難しいため、ファイナンスが困難でした。6月以降、政策の変更に伴い、市場は劇的に高速車(45km/hr)にシフトしており、現在、お客様は登録された車両を購入され、融資も受けられるようになっています。

Randheer Singh氏 -インド政府シンクタンクNiti Ayago共同アドバイザー

インドでのEV需要は膨大であり、だからこそ人々は可能性を見いだし、技術力を向上させようとしています。特に満たすべき項目は電池のサイクル寿命と1kgあたりの電池密度の2つです。この基準を満たすことで、企業はその技術を利用する資格を得ることができ、ボーナス的なメリットを得ることができ、更に時代遅れの技術から移行するインセンティブも組み込まれています。

1991年、リチウムイオン電池が実用化され、1991年から2020年までの間に、97%の価格低下がありました。電池技術(電池密度)の学習曲線の流れを語る場合、1991年〜2016年、2016年〜2020年と2つに分ける必要があります。

1991年〜2016年

円筒型セルは24%、その他のセルは20%でした。2016年以降、政府の政策に反感を持つ人たちがEVに注目し始めました。その後、他のセルの学習曲線は27%に増加し、円筒型セルは31%に増加しました。1年あたりの価格低下率は13%でした。

2016年から2020年

価格低下率は17%でした。これは、世界がダイナミックであることを示しています。私たちは今、変曲点にいます。今、二輪車と三輪車をあわせた、連邦政府と州の設備投資と初期費用へのインセンティブは、バッテリーと同等か安いレベルです。

Fintexでは、多くのプラットフォームやソーシャルメディアを使って、初めて購入する人や、担保を設定できない人の信用履歴を構築しています。買い戻しプログラムやキャプティブ・ファイナンスが登場し、金融を後押ししています。また、政府による初の損失補填も予定されています。

ECC内では、試験項目や条件を共有するドキュメントを公開しています。決められたスケジュールでテストができるように、必要材料がある標準的なラボが必要です。

上田晃裕氏ーテラモーターズ株式会社 代表取締役社長

インド EV パネルディスカッション

インドでEV産業を盛り上げるには、3つの視点から見る必要があります。1つ目はOM(製造メーカー)の視点、2つ目は顧客の視点、3つ目はエコシステムの視点です。

OM(製造メーカー)として、事業における利益を確認し、企業として持続可能でなければなりません。現在、二輪車と三輪車は顧客ニーズが多く、そちらに注力するのが得策だと思っています。最大のメリットは、購入後のランニングコストを削減できることです。顧客に得があり、顧客側へのインセンティブもあります。

「私たちの生活にEVは身近になるか?」の問いに対する回答は「No」です。その理由の1つが、市場とのコミュニケーションが不足しているためです。顧客がEV車に乗り換えた場合、どれだけ彼らが節約できるかが非常に重要であり、これらを正確に市場に伝えていく必要があります。

インフラとは、充電スタンドだけでなく、立地やバッテリーの有無、安全性などを購入者が把握出来るように整備する必要があります。また、EVにとって重要なのがファイナンスです。EVを購入する人たちを支援し、後押しすることで、EV産業を活性化させる鍵の一つとなるからです。また、EVを商用車として使用する機会を提供することで、ビジネスにも貢献し、資金調達のリスクヘッジにも繋がると考えています。

以上

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